営業職キャリア・図鑑

営業職の種類を顧客・商材・手法・形態の4軸で徹底解説。法人営業と個人営業の違いから、インサイドセールスなど最新の営業職まで、自分に合う仕事の選び方を紹介します。

【顧客別】法人営業(BtoB)と個人営業(BtoC)の違い

営業職の種類は多岐にわたります。まずは『誰に』『何を』売るのかという視点で、法人営業と個人営業、有形商材と無形商材の違いを詳しく見ていきましょう。

【手法別】アプローチ方法で変わる営業の働き方

顧客と商材の組み合わせが決まったら、次は『どのようにアプローチするか』という営業手法について理解を深めましょう。最新のインサイドセールスなども解説しています。

営業職のよくある悩み(給与・残業・配属)とその背景

自分に合った営業職の種類が見えてきたら、入社後にミスマッチを感じた際の対処法や、長く働き続けるための社内制度の活用法も知っておきましょう。

営業職とは?会社の売上を創る「直接部門」の役割

「営業職」と一口に言っても、その中身は驚くほど多様です。扱う商材が自動車なのかクラウドサービスなのか、顧客が大企業の役員なのか一般家庭なのか、それだけで一日の過ごし方も求められるスキルも大きく変わります。営業職の種類を正しく理解しないまま「とりあえず営業なら潰しが効く」と選んでしまうと、入社後に「思っていた仕事と違う」というミスマッチが起こりやすくなります。
この記事では、営業職の種類を「顧客」「商材」「手法」「形態」という4つの分類軸で整理し、それぞれの仕事内容、年収相場、向いている人の特徴、将来性を比較していきます。さらに、インサイドセールスやカスタマーサクセスといった近年生まれた新しい営業職、生成AIの浸透による働き方の変化、そして入社後に悩みが生じたときに今の会社の中で打てる手まで扱います。営業職の種類を知って、自分に合う仕事を探すための実務的な地図として使ってください。


営業職とは?会社の売上を創る「直接部門」の役割


営業職とは、自社の商品やサービスを顧客に提案し、契約・購入という意思決定まで導くことで、会社に直接売上をもたらす職種です。経理や人事などの「間接部門」と対比して「直接部門」と呼ばれ、企業の収益構造の最前線に立ちます。


営業職の仕事は「売り込むこと」だと誤解されがちですが、実務の重心は別のところにあります。顧客が抱える課題を聞き出し、自社の商材で解決できる部分を切り出して、費用と効果の見合いを示し、社内の関係部署を動かして提供体制を整える。この一連の流れを設計・実行するのが営業職の本質です。


営業プロセスは6つのステップに分解できる


営業職の種類が違っても、基本的なプロセスの骨格は共通しています。種類ごとの違いは「どのステップに時間を使うか」の配分に現れます。


ステップ主な活動比重が大きい営業の種類
①リード獲得見込み顧客のリスト作成、Web反響の受付、展示会対応新規開拓営業、インサイドセールス
②アプローチ電話・メール・訪問による初回接触、関心度の確認インサイドセールス、テレアポ部門
③ヒアリング課題・予算・決裁プロセス・導入時期の確認無形商材の法人営業、コンサルティング営業
④提案・見積提案書作成、ROI提示、価格交渉、競合比較への対応フィールドセールス、メーカー営業
⑤クロージング契約条件の調整、稟議サポート、契約締結不動産・保険などの個人営業、新規開拓営業
⑥フォロー・拡大納品後の支援、活用促進、追加提案、更新交渉ルート営業、カスタマーサクセス、代理店営業
たとえば新規開拓営業は①〜⑤に時間の大半を使い、ルート営業は⑥を起点に③④を回します。カスタマーサクセスは⑥に特化し、①②はほぼ行いません。求人票を読むときは「この仕事はどのステップが中心か」を見極めると、実際の一日の過ごし方がイメージしやすくなります。

営業職の平均年収の目安


営業職の年収は、種類によってはっきりとした差が出ます。公開されている転職市場のデータでは、営業職全体の平均年収は約534万円、営業管理職は約669万円という水準が示されています。細分化すると、法人営業が約525万円、個人営業が約382万円と、顧客属性による差が生じています。


区分平均年収の目安差が出る主な理由
営業職全体約534万円業界・商材・経験年数の幅が大きい
営業管理職約669万円マネジメント手当、全社目標への責任
法人営業約525万円取引単価が大きく、1件あたりの粗利が高い
個人営業約382万円取引単価が小さく、固定給比率が高い職場が多い
ただしこの数値は平均値であり、同じ「個人営業」でも歩合給の設計次第で年収は大きく上下します。不動産や保険のように成果連動の比率が高い領域では、平均を大きく上回る人も下回る人も同時に存在します。年収を比較するときは、平均値だけでなく「固定給と変動給の内訳」「上位層ではなく中位層の実績」を確認することが重要です。

営業職の種類を整理する4つの分類軸


営業職の種類は、「誰に売るか(顧客)」「何を売るか(商材)」「どう売るか(手法)」「どの立場で売るか(形態)」の4軸に分解すると、迷わず整理できます。求人票に書かれた職種名は、この4軸の組み合わせを言い換えたものにすぎません。


分類軸代表的な種類この軸で決まること
顧客法人営業(BtoB)/個人営業(BtoC)商談相手、決裁プロセス、働く時間帯
商材有形商材/無形商材提案の難易度、必要な知識、差別化の源泉
手法新規開拓/ルート営業/反響営業/インサイドセールス一日の行動量、精神的な負荷の種類
形態メーカー/商社/代理店/カスタマーサクセス自社商材の自由度、関係者の多さ

4軸の組み合わせで実際の職種名になる


実際の求人は、この4軸が掛け合わさった形で存在します。具体例を見ると、職種名の背後にある条件が読み取りやすくなります。


  • SaaS企業のフィールドセールス = 法人 × 無形 × 反響・インサイド連携 × メーカー
  • 住宅メーカーの住宅営業 = 個人 × 有形(+無形の設計提案)× 反響営業 × メーカー
  • 食品商社のルートセールス = 法人 × 有形 × ルート × 商社
  • 生命保険の営業職員 = 個人 × 無形 × 紹介・新規開拓 × メーカー(元請)
  • 広告代理店の営業 = 法人 × 無形 × 新規+既存 × 代理店

まず押さえるべきは「顧客」と「商材」


4軸のうち、働き方への影響が最も大きいのは「顧客」と「商材」です。顧客が法人か個人かで商談の時間帯と意思決定の構造が変わり、商材が有形か無形かで提案の難易度と成長カーブが変わります。手法と形態は、同じ会社の中でも配属や異動で変わる可能性がありますが、顧客と商材は会社のビジネスモデルそのものに紐づくため、入社後に変えにくい要素です。


営業DXと生成AIが変える営業職の働き方


営業の現場は、デジタルツールと生成AIの浸透によって、この数年で大きく変化しました。AIに仕事を奪われるというより、AIを使える営業職の価値が上がる方向に動いています。


生成AIが営業実務に入り込んだ領域


商談の自動文字起こしや議事録生成、提案書のドラフト作成、メール文面の生成、顧客企業の情報収集といった作業は、すでに多くの企業でAIツールに置き換わりつつあります。これにより、営業担当者が事務作業に費やしていた時間が削減され、顧客との対話や提案設計に時間を回せるようになりました。


業務従来のやり方AI活用後の変化
商談記録終業後に手入力でCRMへ記録録音から自動文字起こし・要約を生成し修正するだけ
提案書作成過去資料を探して手作業で組み替え条件を入力してドラフトを生成し内容を精査
顧客リサーチWebを個別に調べて整理公開情報を自動収集・要約して確認
メール作成一件ずつ文面を考える下書きを生成し、個別事情を加筆
商談の振り返り記憶を頼りに自己評価会話の話者比率やキーワードを分析して改善点を把握
重要なのは、AIが生成した内容をそのまま顧客に出さないことです。顧客固有の事情や自社の提供範囲を踏まえた判断は、人間の営業担当者が担う領域です。AIの出力を検証し、顧客に合わせて編集する力が、新しい営業スキルとして求められています。

ジョブ型採用の拡大


役割とスキル要件を明確に定義した「ジョブ型採用」が、インサイドセールスやカスタマーサクセスを中心に日系企業でも拡大しています。従来の「総合職として採用し、配属は入社後に決める」方式に比べ、入社前に担当業務が明確になるため、ミスマッチが起こりにくくなります。


ジョブ型の求人では、職務記述書(ジョブディスクリプション)に求められるスキルや成果基準が具体的に書かれています。応募時には、この記述と自分の経験を照らし合わせることで、入社後のギャップを減らせます。一方、職務が限定されるため、「幅広く経験してから専門を決めたい」という人には総合職型のほうが合う場合もあります。


営業職はなくなるのか


定型的な情報提供や見積作成といった作業は、今後さらに自動化が進むと見られます。しかし、顧客の言葉にならない課題を引き出す対話、複数の利害関係者の調整、前例のない提案の設計といった領域は、人間が担う余地が大きく残ります。


営業職の種類の中でも、単純な御用聞きに近い働き方は価値が相対的に下がり、課題解決型・提案型の働き方の価値が上がる流れです。どの種類の営業職を選ぶにしても、「自分は顧客に対してどんな価値を提供しているか」を言語化できる状態を目指すことが、将来性を確保する現実的な方法です。


営業職に共通して求められるスキルと身につく力


営業職の種類が違っても、土台となるスキルは共通しています。これらは業界や職種を変えても持ち運べる、再現性の高い力です。


共通して必要な5つのスキル


  • ヒアリング力:顧客が語る要望の背後にある、本当の課題を引き出す力。「何が欲しいか」ではなく「なぜ欲しいか」を聞ける状態を目指します。
  • 課題設定力:集めた情報を整理し、「解くべき問題はこれだ」と定義する力。無形商材営業では特に重要度が高まります。
  • 提案構成力:解決策を顧客の判断軸に沿って並べ、効果と費用の見合いを示す力。法人営業ではROIの提示が必須になります。
  • 社内調整力:納期、価格、仕様の例外対応を社内で通す力。顧客への約束を実現できるかは、社内で誰をどう動かせるかに左右されます。
  • 自己管理力:目標から逆算して行動量を設計し、進捗を自分で修正する力。訪問件数や提案件数といった先行指標を自分で管理できるかが差になります。

営業経験で得られる、他職種でも通用する力


営業職を経験すると、顧客の意思決定プロセスを内側から理解できるようになります。これはマーケティング、商品企画、カスタマーサポート、事業開発など、顧客接点を持つ他職種でも強みになります。


営業で培う力活かせる他職種
顧客の課題を構造化する力商品企画、事業開発、コンサルティング
数字から逆算して行動を設計する力事業管理、経営企画
市場と競合の動きを一次情報で掴む力マーケティング、商品開発
複数部署を動かす調整力プロジェクトマネジメント、カスタマーサクセス

まとめ:営業職の種類を知って自分に合う仕事を探そう


営業職の種類は、顧客(法人/個人)、商材(有形/無形)、手法(新規開拓/ルート/反響/紹介)、形態(メーカー/商社/代理店)の4軸で整理できます。この4軸で求人票を分解すれば、職種名だけでは見えない実際の働き方が読み取れるようになります。


さらに近年は、The Model型の分業によってインサイドセールスやカスタマーサクセスという新しい選択肢が生まれ、生成AIの浸透で営業の仕事そのものが変化しています。内勤中心で働きたい人、ノルマより顧客の成功に向き合いたい人にとって、以前より選択肢が広がっているのが現状です。


選ぶときは、「やりたいこと」と同時に「続けられる条件」から逆算してください。休日の取り方、成果の出方の好み、固定給と変動給のバランス、商材への興味。この4点を自分の中で優先順位づけできれば、候補は自然に絞られます。


そして、入社後に「思っていた種類と違った」と感じたときは、すぐに環境を変えることを考える前に、今の職場で打てる手を尽くしてみてください。上司との目標設定、先行指標の管理、業務の効率化提案、研修や資格の活用、社内FAや社内公募の確認。これらを一つずつ試す過程で身につく力は、どの種類の営業職に進んでも土台になります。営業職の種類を知ることは、自分の働き方を自分で設計するための第一歩です。